いくらの醤油漬け。
当時高校生だった私は、
旅行会社のパンフレットに書いてあった『秋味の遡上』という言葉の意味も
読み方さえも分からなくて
辞書を引けばいいのに、
何の迷いも無く、旅行会社に電話して聞いた覚えがある。
今となっては、なつかしくて恥ずかしい話だ。
だから、この時期スーパーの店頭に並ぶ生のいくらを見ると、チクッと胸が痛む。
そして、せっせといくらの醤油漬けを手づくりするのだ。
いくらは、焼網の上で転がすようにすると、パラパラとキレイにほぐれる。
水で洗いながら、すでにつぶれてしまったいくらの残骸(膜みたいなの)や
筋のようなものを根気よく取り除いていく。
洗い終わってザルにあげると、いくらは白味がかったオレンジ色だ。
つくり方は人それぞれ。好みの味加減も人によるのだろうが、
私の場合は、ここでほんの少し塩をふる。
そうすると、不思議なことに、
いくらは透明感のあるキレイなオレンジ色に戻るのだ。

ほら、ピッカピカで、キレイでしょう?
「塩は勇気」ー料亭のご主人に教わった言葉だ。
塩辛くなるのを恐れて、塩加減を控えることが多いけれど
塩がほんのひとつまみ足りないだけで、味は芯を失ってしまう。
だから、勇気をもって、そのひとつまみを入れなさい、と言っていた。
出汁にしょうゆ・日本酒を加え、ひと煮立ちさせたものを冷まし、
水気を十分切ったいくらを漬け込んだら、おしまい。
冷蔵庫に入れて、一晩すれば食べられる。
一晩経たなくても、タレの味加減といくらの状態によってはオーケーだ。
しょうゆと日本酒の割合は、自分の好み。
私の場合は、日本酒多め。甘みは足さない。
濃さは、ちょっと舐めてみて加減するしかない。
いつも同じ味とは限らない。それもまた楽しい。

さて、今日の出来は? 買うより自家製の方がおいしいし、安い。
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